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ロンドン近郊にあるリッチモンド・ゴルフ・クラブは1891年に創立され、現在も運営が続く老舗のクラブ。第2次世界大戦が勃発し、ドイツのイギリス爆撃が激化した1940年8月のある夜、とうとうゴルフ場に爆弾が落ち被害が出てしまいました。

普通なら営業を見合わせ疎開してしまうところなのですが、そこはイギリスの紳士たち。ユーモアのセンスと反骨っぷりがひと味違いました。「爆撃の際の暫定ルール」と題し、以下の特別ルールを採用したのです。

1. 芝刈り機の破損を防ぐため、爆弾や榴弾の破片の回収をお願いします

2. 競技中の銃撃・爆撃の際、プレイヤーはプレー中断のペナルティなしで隠れることができます。

3. 遅延作動式の爆弾の落下した場所は赤旗でマークされます。安全と考えられる距離に立てられますが保証はありません。

4. フェアウェイやバンカーに落ちている破片がボールからクラブの長さ以内の距離にある場合、それをペナルティなしで取り除くことができます。その際ボールが動いてしまってもペナルティはありません。

5. 敵の攻撃によりボールが動いてしまったり、紛失・破壊されてしまったときはペナルティなしでドロップ(拾い上げて打ちやすい場所に落とす)できます。

6. 爆撃によるクレーターにボールが落ちた場合、ボールとホールを結んだ直線の、ホールより遠い側にドロップできます。

7. ショットと同時に爆弾が破裂しショットが邪魔された場合、同じ場所から1打ペナルティを加算してショットできます。

当時はまさにバトル・オブ・ブリテンの真っ最中にも関わらず「ドイツの空襲?知らんね?」と言わんばかりの堂々っぷり。イギリス中の新聞がこのルールを取り上げナチスドイツを批判するとともに、激しい空襲にさらされていたイギリス中の人を勇気づけたようです。

さて、この話には続きがあります。時のナチスドイツの宣伝相ゲッベルスが、このルール追加をネタにしてイギリスへの宣伝放送でこうブチ上げました。

「イギリスの気取り屋どもは、こうしたバカげたルールの改変を宣伝し、偽りのヒロイズムを英国民に植え付けようとしている。そもそもゴルフをプレーするのに危険はない。なぜならドイツ空軍は目標を軍事的に重要な施設に限っているからだ」

これに対するリッチモンド・ゴルフ・クラブのコメントは、自身の歴史を解説するページで一言だけ。
「すなわち私どもの洗濯小屋が軍事施設として認められたということであります」
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イギリス紳士のユーモアと反骨精神にあふれた「ゴルフのプレー中に爆撃が始まった際の暫定ルール」 - DNA